ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.16

小さな会社・職場のビジネスリーダーの為の労務管理塾

労働法講義 講義録16

長時間労働が問題となり、「働き方改革」が叫ばれている現在!
労働時間の管理が非常にウエートを占めます。

今回から、数回に分けて、労働基準法の「労働時間」の規定について、
説明していきます。

先ず、「労働時間」の原則規定….労働基準法32条です。

第1項
「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について40時間を超えて、
労働させてはならない。」

第2項
「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日
について8時間を超えて、労働させてはならない。

⇒休憩時間は、労働時間ではありませんので…休憩時間を除き
1週間は、40時間(※44時間)を超えて労働させると違法となります。
1日は、8時間を超えて労働させると違法となります。
※労働基準法施行基礎25条の2で、商業・映画演劇(製作は除く)・保健
 衛生(病院・介護施設など)・接客娯楽業の事業で常時使用する労働者
の数が10人未満(9人以下)は、44時間と規定しています。

この1週間40時間(44時間)
   1日  8時間

これを「法定労働時間」と言って、これを超えて働かせると、違法となり、
6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金! という罰則もあります。

まずは、法定労働時間をしっかり、確認しておきましょう!

ただ…実際、1日、8時間を超えて働いている方もいらっしゃいます。
1週40時間(44時間)を超えて働いている方もいらっしゃいますね。

いわゆる36協定を締結し、36協定届を労働基準監督署に提出(勿論、
就業規則等に規定を置きます。)することにより法定労働時間を超えて
労働させることができます。

36協定については、次回(講義録17)で説明致します。

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.15

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労働法講義 講義録15

今回は、最低賃金について説明したいと思います。

最低賃金については「最低賃金法」という法律に規定があります。

現在、最低賃金には、2種類あり、いずれも時間(時給)となります。

地域別最低賃金・・・都道府県ごとに1つ最低賃金が決まっていて
対象者は、都道府県内の事業場で働くすべて(パート・アルバイト
等を含む)の労働者とその使用者に対して適用されるます。
特定最低賃金・・・対象者は、特定地域内の特定の産業の基幹的労
働者とその使用者に限定されています。平成29年4月1日現在、全国
で233件の最低賃金があり、そのうち、232件は各都道府県内の特定
の産業について決定されています。残り1件は全国単位で決められて
います。)できめられています。

①②の両方適用となる場合は、多い方が最低賃金となります。

なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなど一定の場合には、
都道府県労働局長の許可を受けて最低賃金の所定の減額が特例的に
認められています。

最低賃金は、毎年、10月頃に改定されます!

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金次の賃
金を除外したものが最低賃金の対象とされています。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割
増賃金など)

④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のう
ち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃
金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

最低賃金以上かどうかをチェックするには、

月給制の場合...

先ほどの
「毎月支払われる基本的な賃金」÷※1箇月平均月所定労働時間」
=一時間当たりの賃金 ≧ 最低賃金

※実際労働時間ではなく、時間外労働等を除いた所定労働時間

この規定を知らなかった頃...(サービス残業で働いていたころ)
残業早出時間込の実際労働時間で時給計算したところ...1時間
540円位しかなかったので、(>_<)  ショックを受けましたが....

あくまでも...最低賃金は、所定労働時間ベースで計算することに
注意しましょう!

なお、地域別最低賃金を下回った場合、50万円以下の罰金の規定が
あります。 高校生・大学生のバイトであっても、地域別最低賃金は
適用されますので...しっかり確認しましょう!!

 

 

 

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.14

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労働法講義 講義録14

前回、賃金払いの5原則について説明しましたが、

今回は、5原則の例外を説明します

先ず、前回の 賃金払いの5原則は….
★賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③その全額を支払わなけれ
ばならない。
★賃金は、④毎月一回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければ
ならない。

5原則の例外
①通貨払いの原則の例外
 ●銀行口座等への振り込み
銀行振り込みは、通貨で払うわけではありませんが、銀行預金
口座等への振込払いをしている事業所も多いと思います。
労働者の個別の同意を得ることにより、銀行口座等振込が可能
となります。なお、口座等振り込みに同意しない労働者に対して
は、通貨払いです。
●労働協約(労働組合との書面による協約)がある場合は、通勤
定期券など現物賃金も認められていますが、原則としてその労
動協約の適用を受ける労働組合員に限り適用されます。
●退職金(退職手当)も退職金規定などがある場合には、労働基
準法では、賃金になると、前回説明しましたが、退職金について
は、同意を得て銀行口座等振り込みによる他、銀行振出小切手
金融機関保証小切手などで支払うことが認められてします。
ただし、民間企業などが発行する小切手は認められていません。
●条文には、法令に別段の定めがある場合は、現物賃金を認める
例外がありますが、現在、この法令は存在しません。ただし、
条文に規定があるとすれば、将来! 法令ができ、通貨以外の
現物で支給することがあるかも知れませんね。
②直接払いの原則の例外
●代理・親権者等に支払うことは、禁止されています。
ただし、「使者」に支払うことは認められます。
夫の代わり(使者)として給料をとりに来た奥さんなどは、原則
として、支払うことが可能となります。
③全額払いの原則の例外
●法令に別段の定めがある場合、この法令は存在します。
健康保険法(介護保険法)・厚生年金保険法、所得税法などの法
令による賃金から控除して全額支給しないことが可能です。
社会保険料や雇用保険料、所得税、住民税など引かれてますね。
●例えば、労働組合員の方の組合費を賃金から控除したり、互助会
の費用、団体生命保険料など賃金から控除する場合には、労使協
  定を締結(届出不要)すれば、控除することが可能です。
※労使協定とは、
以前も説明したかと思いますが、労働者の過半数で組織する
労働組合があればその労働組合(過半数労働組合)、過半数
労働組合がない場合には、過半数を代表する者との書面による
協定をいいます。
④⑤毎月1回以上払いの原則と一定期日払いの原則の例外は、まとめ
て説明します。
●臨時に支払われる賃金(就業規則等に規定がある結婚祝金、病気
見舞金など)
●賞与(就業規則等に規定があるもの)
●1箇月を超える期間ごとに支払われるもの(1箇月を超える期間
をベースに支給される皆勤手当など)
以上の賃金は、毎月1回払いませんし、一定の期日といっても、最
初からわかりません。このような賃金は、例外となります。

労働条件の中でも…賃金は超! 重要項目ですね!!

 

 

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.13

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労働法講義 講義録13

今回から、当分の間…賃金について、説明していきます。

労働者の方は、働いて、その見返りにお給料を戴きます。

労働基準法では、「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞
与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者
に支払うすべてのものをいう。」と定義されています。
されています。

つまり、賃金とは、お給料の事ですね。
ただし、労働基準法では、賞与も退職手当(退職金)も就業規則
などに規定があり、法的に支払い義務があるものは、賃金に含ま
れます。労働基準法は、賃金の範囲が少し広いと思ってください。

労働基準法をはじめいわゆる労働法では、労働の対象を「賃金」
といい…
社会保険では、「報酬」と呼び….
所得税法などでは、賞与などを含め「給与」⇒給料・賞与と呼ん
でいます。

その範囲には、多少、差がありますが、…ここでは、あまり問題
にしないことにします。

今回は、その「賃金」ですが、

賃金を支払う場合(勿論、使用者ですよ)は、労働基準法では、
5原則あり…今日はその5原則を説明しておきます。

原則ですから、当たり前の規定ばかりですが、次回説明する、例外
が特に、ポイントになりますので、今回の原則は、よく、確認し
ましょう!

★賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③その全額を支払わなけれ
ばならない。
★賃金は、④毎月一回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければ
ならない。

①→通貨払いの原則(紙幣・硬貨で払ってね!)
②→直接払いの原則(労働者本人に払ってね!)
③→全額払いの原則(ちゃんと、全額払ってね!)
④→毎月1回以上払いの原則(月、1回は払ってね!)
⑤→一定期日払いの原則(給料日を決めて払ってね!)

どれも、大切なことですね。

例外的な取り扱いは、次回説明します。

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.12

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労働法講義 講義録12

「年次有給休暇」7回目となります。今回で、とりあえず!
有給休暇….説明終了です。

平成28年就労条件総合調査によりますと….
平成 27 年(又は平成 26 会計年度)1年間に企業が付与した年次
有給休暇日数(繰越日数 を除く。)は
労働者1人平均 18.1 日(前年 18.4 日)、そのうち労働者が取得
した日数は 8.8 日(同 8.8 日)で、取得率は 48.7%(同 47.6%)
となっている。
取得率を企業規模別にみると、1,000 人以上が 54.7%(同 52.2%)
、300~999 人が 47.1% (同 47.1%) 、100~299 人が 44.8%
(同 44.9%) 、30~99 人が 43.7%(同 43.2%)となっ ている。

平均値の取得率をみますと、平成27年が48.7%、26年よりも1.1%は、
増えていますが、50%を切っています。

エクスペディア「有給休暇国際比較調査2016」によりますと、
支給日数に違いはありますが、…
ブラジル、フランス、スペインなどは、100% アメリカ80%…
日本は、53%の取得率となっています。

今後の方向性として、有給休暇の取得率をあげるため労働基準法
の法改正が予想されます。

リーダーの皆様におかれましては、有給休暇は、請求があれば、与
えなければならないという認識のもと、今後の法改正情報は、しっ
かりチェックして適正な労務管理に役立てていただきたいと思いま
す。

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.11

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労働法講義 講義録11

「年次有給休暇」6回目となります。

年次有給休暇は、原則として労働日単位で与えられます。

ただし、昭和24年の通達に、「年次有給休暇は、1労働日を単位と
するものであるから、使用者は、労働者に半日単位で付与する義務
はないが、請求があった場合に半日単位で与えても差し支えない。」
とあり、半日単位もあり得るということになります。

就業規則をやはりよくチャックしておかないと、いけませんね。

さらに、平成22年4月1日施行の法改正により....、

労使協定(注)を結ぶことにより、時間単位の年次有給休暇が、
可能となりました。

従業員さんから、時間単位の有給休暇の請求があれば、まず、就業
規則等・労使協定書をチェックし、皆さんの事業所で時間単位有給
の制度があるのか?  確認することが大切です!!

(注)「労使協定」とは、当該事業場に、労働者の過半数で組織す
る労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で
組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する
者との書面による協定

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.10

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労働法講義 講義録10

「年次有給休暇」5回目となります。

本日は、有給休暇期間中の給料のお話です。

有給休暇は、出勤日に休んでも、賃金(給料….)が補償されます。

では、有給休暇中の賃金はどのように決まっているでのしょうか?

労働基準法39条第7項において、
有給休暇中の賃金としては….1労働日あたり、

①平均賃金(労働基準法12条の賃金:原則として過去3か月の平均)
②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
③労使協定により健康保険法第40条第1項のいわゆる標準報酬日額

のいずれかで計算します。

①~③のどのパターンで支給するかは、就業規則等でチェックしま
しょう!

その際、確認しておいていただきたいのは、

労働基準法法則第136条に
「使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休
暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱い
をしないようにしなければならない。」

という、規定です。

特に、先ほどの②のケースでは、「所定労働時間労働した場合に支払
われる通常の賃金」ということですので、精皆勤手当を付ている事業
所の場合、有給休暇を取得したというだけでは、カットできないこと
になります!

 

また、通勤手当については、それが、通勤に要する費用の負担(実費
弁償的に事業主が負担)であれば、所定労働時間労働した場合に支払
われる賃金に該当しないものと考えられますので、就業規則等の規定
を確認のうえ、その分の通勤手当はカットして差し支えないと考えら
れますが…しっかり、ルール付けしておいた方が、いいでしょう。

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.9

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労働法講義 講義録9

「年次有給休暇」4回目となります。

本日は、有給休暇の比例付与について、説明します。

年次有給休暇の主目的は、リフレッシュ!ということは、以前、説明
いたしました。

では、パート・アルバイト従業員さんの有給休暇はどのようになって
いるのでしょうか?

パート・アルバイト従業員さんについては、その労働時間等により、
有給休暇の付与日数が決まってきます。

決して! パート・アルバイト従業員の方に、有給休暇を付与しなく
てもいい…ということには、なりません!

トラブルも多いので注意が必要です!!

条文は、厚生労働省令を参考としなければなりませんので、省略し、

簡単に説明いたします。

なお、パート・アルバイト従業員の方の有給休暇の付与要件(入社6月、全労働日の8割以上など...)は、正社員と変わりません。

一般的にパート・アルバイト従業員の方は、正社員に比べて、労働時間数や労働日数が短いということで、ストレスの度合いも労働時間や労働日数に比例すると考えて...有給休暇は、比例付与されます。

週3日勤務のパート従業員の方で考えますと....

正社員の有給休暇日数(例:10日)×3日/5.2日
=5.76..
計算結果⇒1日未満切り捨て ∴5日

※通常の労働者(正社員)の1週間平均労働日数⇒5.2日とし
て、計算することになっています。
つまり、週3日労働する人は、正社員が10日有給休暇を付与されるのだったら、正社員が週5.2日平均的に労働するので、比例させて、3/5.2を乗じて計算しているわけです。

具体的な比例付与対象者は、以下のようになります。
A.週所定労働時間が30時間未満かつ週所定労働日数が4日
以下の者

B.週所定労働時間が30時間未満かつ年間所定労働日数が
216日以
下の者
※A.は、労働契約が1週間何日労働するという契約者です。
(週3日勤務等)週を単位に契約しているパートの方などで
す。
※Bは、A.以外の週を単位としない契約のパート・アルバイ
トの方
(月15日勤務等....)週何日とか計算できない場合

以下が有給休暇の付与日数表です。有給休暇比例付与表

パート・アルバイト従業員であっても、A.B.に該当しない
①週の所定労働時間30時間以上の方
②週所定労働日数5日以上の方
③週を単位としない契約者等で1年間の所定労働日数217日以上の方
のいずれかに該当する方は
正社員と同じ付与日数となりますので、注意が必要です!!

 

 

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.8

小さな会社・職場のビジネスリーダーの為の労務管理塾

労働法講義 講義録8

「年次有給休暇」3回目となります。

有給休暇、何日残っていますか?

日頃、有給休暇を請求しない従業員が、確認のために、有給休暇
の残日数を聞いてきたら….ひょっとすると、退職を考えている
のかもしれません….あるいは、疲れが溜まっているのかも知れ
ません….

日頃から、コミュニケーションをしっかりとっておかないと…

今回は、法定有給休暇の残日数の計算です。

その説明に入る前に、消滅時効について...

労働基準法第115条
「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償そ
の他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権
は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。 」

退職手当(退職金)の請求権は、5年...それ以外の賃金、災
害補償その他の請求権は、2年...請求せずに放っておくと、
時効になり、請求する権利が消えますよ...

有給休暇も全労働日の8割以上継続勤務等により、時季を指定し
て請求する権利⇒(請求権)です。よって、請求せずに放ってお
くと、2年で消えてしまいます。

有給休暇の時効は、基準日から起算して2年となります。
結論をいいますと、基準日は、その期間の出発点なので、その
1年間に未消化の有給休暇は、翌期間の末日(当期間の期首から
2年)までに限り繰越すことができ、翌々期間は、時効となり
繰越せないということです。
つまり、翌期間のみ未消化の有給は繰り越せる!

残日数を計算する場合には、その点も考慮します。

それでは、本題に入ります。

法定有給の取得日数は、前回、説明いたしました。

例えは、平成25年10月1日入社の正社員Aさん(全労働日の8割以
上勤務という前提で考えていきます。)

先ず、入社後、6箇月経過後(平成26年4月1日⇒ここから法定有
給休暇が付与される※基準日)からの1年間(平成26年4月1日から
平成27年3月31日)に10労働日、付与されます。次は、(平成27年
4月1日~平成28年3月31日)は、1労働日増えて、11労働日、次は、
(平成28年4月1日~平成29年3月31日)は、また、1労働日増えて
12労働日、次は、(平成29年4月1日~平成30年3月31日)は、2労
働日増えて、14労働日…..

では、Aさんの有給休暇取得状況は以下の通りとして、…
平成26年4月1日~平成27年3月31日 有給休暇3日取得
平成27年4月1日~平成28年3月31日 有給休暇6日取得
平成28年4月1日~平成29年3月31日 有給休暇13日取得
平成29年6月に3日有給を取得

平成29年8月20日に、Aさんが、「私の有給休暇は何日残っていま
か?」と質問がありました。

Aさんの年次有給休暇の基準日は、入社6月経過した時の月日、
つまり、毎年4月1日となります。(8月1日入社の場合の基準日は、
毎年2月1日ですね。)

よって、

●平成27年3月31日時点の残日数  3日消化
・10日-3日=7日(次期に繰り越し)

●平成28年3月31日時点の残日数  6日消化
先ずは前期繰越分から
・前期繰越7日-6日=1日⇒0日 ※時効で繰越不可!
・新規付与11日(次期に繰り越し)

●平成29年3月31日時点の残日数  13日消化
先ずは前期繰越分から
・前期繰越11日-11日=0日
次に新規付与分から
・新規付与12日-2日=10日(次期に繰り越し)

●平成29年8月20日時点の残日数 3日消化
・前期繰越10日-3日=7日
・新規付与14日

結局、平成29年8月20日時点では、7日+14日=21日となります。
21日のうち、7日は、時効の関係で平成30年3月31日までに消化し
ないと、消えてしまします!

今回は、原則的なケースで、説明しました。

事業所によっては、年次有給休暇の斉一的取扱い(例えば、全労
働者、基準日を一律4月1日とする…)や分割付与(例えば、入
社後6月経過前に10日のうちの5日を分割して先に与える…)
をしていたり、前期繰越分がある場合でも、前期繰越分から消化
せず、当期新規付与分から消化していく場合など、例外的な形も
存在します。

例外的な取り扱いなどは、就業規則に規定があるばずです。
就業規則がどうなっているか? 必ず確認すべきです!!

 

 

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.7

小さな会社・職場のビジネスリーダーの為の労務管理塾

労働法講義 講義録7

本回のテーマは、…前回に引き続き「年次有給休暇」2回目となり
ます。

前回は、「有給休暇の目的」をお伝えしました。

今回は、有給休暇の日数計算をお伝えいたします。

労働基準法39条
第1項
「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働
日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労
働日の有給休暇を与えなければならない。」

第2項
「使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れ
の日から起算して6箇月を超えて継続勤務する日(以下「6箇月経過
日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に
、次の表の上欄に掲げる6箇月経過日から起算した継続勤務年数の区
分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなけれ
ばならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から1年ごと
に区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)
の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の8割未
満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を
与えることを要しない。

6箇月経過日から起算した継続勤務年数   労働日
1年          1労働日
2年           2労働日
3年          4労働日
4年           6労働日
5年          8労働日
6年以上        10労働日

ちょっと、条文が難しいので…..

入社から6箇月、全労働日(簡単に言うと、働くべき日等)8割以上
継続勤務すれば、6箇月経過後の1年間、10日有給をあげましょう。
その1年間に全労働日の8割以上継続勤務すれば、1労働日増やして
11日有給をあげましょう。あと、同様に、1年カウント、8割以上
で、12日、14日、16日、18日、20日と増えていき、入社か
ら6年半たてば、あとは、20日のまま、増えない! ということ
になります。

最初は、10日、あとは、1ずつ増え、11日、12日、次から2日
ずつ増えて14日、16日、18日、20日…後は20日…

これは、あくまでも、労働基準法39条第1項、第2項ののいわゆる
法定有給の事です。

会社が独自に、法定有給を超える有給休暇を付与することは、何ら、
問題ありません。

今一度、皆さんの、就業規則を確認してみましょう!!

次回は、残日数の計算をお伝えします。