ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.14

労働法講義 講義録14

前回、賃金払いの5原則について説明しましたが、

今回は、5原則の例外を説明します

先ず、前回の 賃金払いの5原則は….
★賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③その全額を支払わなけれ
ばならない。
★賃金は、④毎月一回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければ
ならない。

5原則の例外
①通貨払いの原則の例外
 ●銀行口座等への振り込み
銀行振り込みは、通貨で払うわけではありませんが、銀行預金
口座等への振込払いをしている事業所も多いと思います。
労働者の個別の同意を得ることにより、銀行口座等振込が可能
となります。なお、口座等振り込みに同意しない労働者に対して
は、通貨払いです。
●労働協約(労働組合との書面による協約)がある場合は、通勤
定期券など現物賃金も認められていますが、原則としてその労
動協約の適用を受ける労働組合員に限り適用されます。
●退職金(退職手当)も退職金規定などがある場合には、労働基
準法では、賃金になると、前回説明しましたが、退職金について
は、同意を得て銀行口座等振り込みによる他、銀行振出小切手
金融機関保証小切手などで支払うことが認められてします。
ただし、民間企業などが発行する小切手は認められていません。
●条文には、法令に別段の定めがある場合は、現物賃金を認める
例外がありますが、現在、この法令は存在しません。ただし、
条文に規定があるとすれば、将来! 法令ができ、通貨以外の
現物で支給することがあるかも知れませんね。
②直接払いの原則の例外
●代理・親権者等に支払うことは、禁止されています。
ただし、「使者」に支払うことは認められます。
夫の代わり(使者)として給料をとりに来た奥さんなどは、原則
として、支払うことが可能となります。
③全額払いの原則の例外
●法令に別段の定めがある場合、この法令は存在します。
健康保険法(介護保険法)・厚生年金保険法、所得税法などの法
令による賃金から控除して全額支給しないことが可能です。
社会保険料や雇用保険料、所得税、住民税など引かれてますね。
●例えば、労働組合員の方の組合費を賃金から控除したり、互助会
の費用、団体生命保険料など賃金から控除する場合には、労使協
  定を締結(届出不要)すれば、控除することが可能です。
※労使協定とは、
以前も説明したかと思いますが、労働者の過半数で組織する
労働組合があればその労働組合(過半数労働組合)、過半数
労働組合がない場合には、過半数を代表する者との書面による
協定をいいます。
④⑤毎月1回以上払いの原則と一定期日払いの原則の例外は、まとめ
て説明します。
●臨時に支払われる賃金(就業規則等に規定がある結婚祝金、病気
見舞金など)
●賞与(就業規則等に規定があるもの)
●1箇月を超える期間ごとに支払われるもの(1箇月を超える期間
をベースに支給される皆勤手当など)
以上の賃金は、毎月1回払いませんし、一定の期日といっても、最
初からわかりません。このような賃金は、例外となります。

労働条件の中でも…賃金は超! 重要項目ですね!!