ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.25

小さな会社・職場のビジネスリーダーの為の労務管理塾

労働法講義 講義録 25

今回も「就業規則」の説明です。

当社には、正社員の他、有期労働契約者の短時間労働者(パート
タイマー)、学生アルバイト、定年退職後の嘱託社員など…正社員
以外の従業員がおり、労働条件が異なるという場合があります。

また、賃金に関する規定、育児介護休業の規定等…ボリュームが
ある場合、1つの就業規則に入れると、すごい分厚い就業規則が
でき、取り扱いが不便ということもあります。

そのような場合、就業規則本則に、

例えば

「….本規則は、正社員以外の者には、適用しないこととし、正
社員以外の者については、別に定める規則による」と規定し、本則
以外にパートタイマー就業規則、アルバイト就業規則、嘱託社員
就業規則など別に規定をもうける。

「社員の給与は、別に定める賃金規程による。」と本則に規定し、
別に賃金規程や育児介護休業規程などをもうける….

本則以外に詳細は別規定を設けるなど、いろいろ工夫をしましょう。

なお、パート、アルバイト等の人数が少数で、別規定を設けるまで
もない場合は...、
就業規則本則に「….正社員以外の者については、この規則に適用
しない旨の定めがあるものは、個別に結ぶ労働契約によるものとす
る。」とし、労働契約書や労働条件通知書に記載する方法もありま
す。

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.24

小さな会社・職場のビジネスリーダーの為の労務管理塾

前回の続き「就業規則」の説明です。

常時10人以上の労働者を使用する場合に、就業規則を作成し、
届出をする義務がありましたが…この人数のカウントは、事業場
単位で行うことになります。 つまり、会社全体ではなく、例え
本社は本社で…支店や工場、営業所など…同じ場所になければ、
支店は支店で…工場は工場で…営業所は営業所で常時10人以
上労働者を使用していれば、別々に届出をする必要があります。

本社(〇〇市…町…)      20人
〇△支店(〇△市…町)     11人
△△営業所(△△市…町…) 7人

の場合、本社と〇△支店は、各々、労働者代表を選び(過半数労
動組合がない場合)、意見書を添付して各管轄の労働基準監督署
へ届出をします。

△△営業所は、10人未満となるため、就業規則の作成義務はない
こととなります。

労働者の数が常時10人未満の事業所は、就業規則の作成、届出義
無はありませんが、たとえ、労働者の数が少なくても、就業規則
を作成する意義は大きいと思います。

この(労働者数が常時10人未満の)場合、労働基準法の就業規則
(常時10人以上)に準ずるということで、準就業規則とよばれて
います。…就業規則には違いありませんね….

就業規則は、一方的に事業所が作成・変更し過半数労働組合(な
い場合には、労働者の過半数代表者)に意見を求めることが一般
的ですが、最初から労働者代表又は数人の労働者を巻き込んで、
作り上げる…といった方法も有効的です。

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.23

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労働法講義 講義録 23

今回から「就業規則」について説明します。

労働基準法では、…

「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、
次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁(労働基準
監督署)に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した
場合においても、同様とする。

始業及び終業の時刻休憩時間休日休暇並びに労働者を
 組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換
関する事項
※休暇→有給休暇、育児介護休業など
※2組以上に分けて交替就業させる場合→早番、遅番など

賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の
 定、計算及び支払の方法賃金の締切り及び支払の時期並びに
昇給に関する事項

退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

③の2 退職手当定めをする場合においては適用される労働
    者の範囲退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに
退職手当の支払の時期に関する事項
※退職手当→退職金など

臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをす
 る場合においては、これに関する事項

⑤労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合
 においては、これに関する事項

安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関す
る事項

職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合において
 は、これに関する事項

表彰及び制裁定めをする場合においてはその種類及び程度
関する事項

⑩前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用
される定めをする場合においては、これに関する事項

このうち、①から③を【絶対的必要記載事項】といい。
必ず記載する必要がある項目となります。

また、③の2から⑩までは、相対的必要記載事項】といい
規定がある場合(定めをする場合には)には必ず記載しなければな
らない項目となっています。

他にも「任意的記載事項」といって...規定を設けても就業
規則に記載するかどうか自由であるもの(例:本就業規則の決定
及び内容の変更は労働組合の同意を必要とする...)がありま
す。

最低賃金法(地域別最低賃金)10月に改定

平成29年10月地域別最低賃金が改定されました。
最低賃金法の最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」
があります。
今回の動画では、「地域別最低賃金」を中心に、最低賃金の対象賃
の計算も簡単に説明しています。

こちらをご覧ください。

資料はこちらです。 最低賃金(地域別最低賃金)の解説

 

 

 

 

ビジネスリーダーの為の労務管理塾《労働法編》講義録NO.22

小さな会社・職場のビジネスリーダーの為の労務管理塾

労働法講義 講義録 22

今回は、労働時間・休憩・休日の適用除外について説明します。

以下の人たちは、労働時間・休憩・休日の規定は適用されません。

1 いわゆる農業・畜産養蚕水産業等の事業に従事する労働者
2 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者
又は機密の事務を取り扱う労働者
3 監視又は断続的労働に従事する労働者で、使用者が行政官
   庁の許可を受けたもの

先ず、
1の労働者は、天候等の自然現象に左右される業種であり、
季節的に繁閑の差があるため、労働時間・休憩・休日の規定など
規制しない方がいいという配慮から適用除外となっています。
ただし、林業は該当しません。林業については、原則通り、労働
時間、休憩、休日の規定が適用されます。林業の後継者不足問題、
天候等に左右されない林業もあるということが理由のようです。

2の労働者は、管理監督者とか秘書の方をいい、管理監督者は、
労働者を管理監督する立場であり、秘書の方は、経営者と一体と
なって業務を行うため、労働時間・休憩・休日の規定は適用除
外となっています。
ただし、以前もだいぶ問題になりましたが、名ばかり管理監督
者の方は、適用となります。

3の労働者は、精神的又は肉体的疲労をともなわないような監視
業務や少し業務をして暫くして休憩…を繰り返すような業務で
行政官庁(労働基準監督署)の許可が必要となります。
(例:お客さんが少ないモータープールの守衛さん、学校の用務
員さんなど….)

適用除外者の労働者は、労働時間・休憩・休日に関する規定が
適用除外ということですので、深夜労働や年次有給休暇等は、
適用があります。